[ウエディングSTORY] ここから
「いよいよだね。今日は楽しもうね!」
そう言って一足先に準備に向かった彼女。
もう随分と長いこと一緒にいて、
帰る家が同じになってから
背中を見送るのは寂しくなくなった。
「いってらっしゃい」と声を掛けて
僕も出かける準備を始める。
今日一日の始まりが
そんな日常の風景だったからか、
頭の中はなんだかふわふわしていて
正直まだ結婚式当日を迎えたという実感がない…。
彼女が作っていってくれた朝食を食べて
のんびり準備をして僕も会場に向かう。
今日は自分で運転せず
タクシーに乗り込んだけれど。
打ち合わせで何度も通った道だからか
「本当に今日が本番なのかなー…。」なんて考えながら
窓の外を見つめていた。
ジャケットに袖を通して
ぴかぴかのエナメルシューズに足をすべり込ませて
少しずつ、少しずつ
「今日はやっぱり特別な日なんだな」と感じ始めた。
彼女はまだ部屋から出てこない。
僕は先にウェルカムパーティに合流して
ゲストと一緒に時間を過ごす。
大切な両親や友人と話しながらゆったりと過ごしていたら
突然切り替わるBGM。
こちらへどうぞ、と誘導され
「そうか~、いよいよ始まるんだな~」と思いふと顔を上げると
螺旋階段をゆっくり降りてきた彼女の姿に息を飲んだ
もう随分と長いこと一緒にいたけれど
出会ったとき
初めて気持ちを伝えたとき
初めて手を取って抱きしめたとき
「結婚してください」と伝えて指輪を渡したとき
今までのどの瞬間よりもドキドキして
こんなに素敵な女性が
僕のお嫁さんになってくれるんだ、という実感が湧き上がってきた
「俺と結婚してくれてありがとう、愛してるよ」
彼女にしか聞こえないように伝えたコトバ。
照れ笑いする彼女の手を取って
みんなの元へ。
さあ、ここからが
僕たちの最高の1日の幕開けだ