【ウエディングSTORY】In The Morning.
いつもと同じ夜を過ごして、
いつもと同じように眠りについた。
目覚ましもいつもと同じ時間に僕を起こそうとしていて、
それに気づいたのは僕よりも、目覚ましよりも先に起きた君が、
そわそわと落ち着かない様子で僕を起こしに来たからだった。
ねえ、早く起きてよ!
普段は起こしても全然起きないくせに、
旅行だとかイベントだとか、楽しみがあると子供みたいに眠れなくなる君。
おかしいな、昨日はあんなにぐっすり寝てたのに。
もう少し寝かせてくれよ、っていう僕のお願いは綺麗に無視されそうだ。
まるで日曜日の朝、遊びに連れ出してくれることを望んで父親を起こしにくる娘のようだ。
でもそんな君が可愛くて、呆れながらも笑うんだ。
いつもより何をするにも丁寧だったし、
いつもより身体を気遣って、だいぶ早くも寝た。
全ては今日を楽しむために。
だけどなんだか落ち着かなくて、目覚ましよりも早く起きちゃった。
メイクも髪型も今日は全部やってくれるから時間はたっぷりあるはずなのに、
彼が起きるまでの時間でさえ待ち遠しくて、身体は勝手に動き出す。
ねえ、早く起きてよ!って、昔お父さんを起こしに行った日曜日の朝を思い出す。
「もう少し寝かせてくれよ」
不機嫌そうな声でそう言うくせに、身体はちゃんと起きる準備を始めてくれてるの。
彼がお父さんみたいなのはちょっと笑えるけど、
寝てられないわたしに付き合ってくれる優しい彼がやっぱり大好きだ。
いつもと違うようで、いつもと同じ朝。
そう、それが結婚式の朝。