花嫁の靴
「素敵な靴は あなたを良い方向に導いてくれる
だからどんなときも 靴だけは良い物を選びなさい」
母の口癖は、
「おしゃれは足元から」だった。
小さい頃から流行りの靴は持っていたし
母の手入れでいつも綺麗な靴を履かせてもらっていた。
自分で靴を買うような年齢になってからも
父に ムカデか、と言われるほどに
たくさんの靴を持っていた。
おろしたての靴を履く時のワクワク感、
履きなれた靴を手入れするときの愛おしさと
履けなくなってしまった靴への「ありがとう」の思い。
母の言葉を素直に受けれて
「この靴を大事にすれば、私を幸せな場所に連れて行ってくれる」と
ずっと信じて育ってきた。
結婚式をする、となったときにも
一番に考えたのは靴のこと。
ドレスよりも、会場の装飾よりも
どんな靴で幸せな一日を過ごしたいか。
初めて、彼と一緒に選んだ
ウェディングシューズ
きっと この靴は今日私を
幸せな場所に導いてくれる