3月
3月
学生にとっては卒業式の季節
近くの学校から、卒業証書の筒を持って帰る
制服の学生たちが下校している
僕は学生時代のことを思い出す______
高校1年生の時
入学したてで、周りには言えないけど緊張してるとき
初めて仲良くなったのはなんと女子だった
中学生の時まで女友達なんていなかったのに
僕が明らかに人見知りを出してても構わず話しかけてくる
誰とでも上手くやれる気遣いのできる子だった
進級し
クラスは別になったが
廊下で偶然会って目が合って世間話をちょっとする
そんな仲になった
廊下に出たら、またいるかな、って考えて
ちょっとどきどきしながら
用もないのにうろうろして
そうしたら君がいて、話して…
そんな日々が続いていた
あの時
僕の中には確かに恋心があった
でも、勇気が出ず気持ちを伝えることができなかった
そして卒業を迎えてしまった
それから5年
街を歩いていると
後ろから声を掛けられる
振り返ると、大人になったあの子がいた
それがきっかけで
メールのやり取りが始まった
中学生の頃にはまだわからなかった
あの時からちょっと大人になった僕たちだからこそ話せる価値観の話とかをする
あの廊下で話した感覚が懐かしい
僕たちは大人になったけど
この子といると、どきどきするということ
それはずっと変わらないみたいだ
そんなことを思い返しながら
今日という日を迎えた
声を掛けてくれたあの子が
人生で1番綺麗な日
僕は変わらずどきどきしている
『僕に声を掛けてくれてありがとう』
そう、最後に伝える決心をしたからだ
