書ききれない想い
お父さん お母さん 今日までこうして
私のことを育ててくれて ありがとう
ここまで書いて 私のペンは止まった
どうしよう
何から書けばいいかな
伝えたいことは沢山あるのに
どう書いたらいいかな
そう考えてかれこれ何時間がたったのだろう
まるで 夏休みの宿題の感想文が書けない小学生みたいに
書いては消してを繰り返している
子供の頃のこと
大人になってからのこと
結婚式をすると決まってからのこと
思い返せば きりがないくらい
数枚の便箋には書ききれない思い出が
いくつもいくつも溢れてきた
まだ足りないな
こんなに書いたら言いすぎかな
考えて考えて
やっと形になったその手紙は
今か今かと
読まれる時を待っているような気がする
そういえば
小さいころにも
お父さんとお母さんに伝えたいことがあるのに
なかなかうまく言えなくて
でもお父さんとお母さんは
そんな私に何となく気が付いてくれていて
私が言い出さないものだから
困らせてしまったことがあったな
そんな時にお母さんが教えてくれた
「困ったことがあったら
うまく伝えられないことがあったら
その時はね ぎゅって抱きしめたら伝わるのよ」
そう言われてその時はうまく理解できなかったけど
言われるがままにお母さんとぎゅってしたら
モヤモヤしていたものは
どこかにいなくなっていた
さぁ いよいよあの手紙を読むときがきた
まとまりのない私の手紙
お父さんもお母さんも
うなずきながら しっかり聴いてくれてる
書ききれなかった想いを ぎゅっとこめて
私たちにだけ聞こえるように 伝えるね