雪道
雪が積もった日の朝に決まって思い出す
子供のころのとある記憶
雪が深い北海道
小さい子供の足では
積もった雪道を歩くのは至難の業
そんな私の前を決まって歩いていたのは
父親だった
雪道を歩くことが大変だという
父親の優しさだった
私が歩きやすいように
足跡を残してくれるのだ
しかし
父親の一歩は大きい
結局、歩幅が合わず
私の靴の中には雪がどんどん入ってきて
足がかじかんでしまっていた
ズンズン進んでいく父親の背中を見ては
『もう少し私のことを考えてくれ!』
『たまには後ろを振り返ってくれ!』
そんなことを心の中で考えながら
必死に父親の後を追いかけていたのだ
そんなことを思い出すと
寡黙な父親のせめてもの優しさだったと
寒い日の朝でも心の中はあたたかくなる
今
私の前を歩いて
足跡を残してくれるのは
大切な旦那さん
この想い出話をしたこともないのに
不思議と父親と同じように
気にかけてくれる
きっと
優しい父親になるんだろうな