【結婚式の物語】私にとってのファーストシューズ
初めての彼からのプレゼント
それは誕生日でも記念日でもクリスマスでもなく
なんでもない日にもらった贈り物でした
「それ、誕生日プレゼントね
まだ渡せていなかったから」
誕生日から半年後…のなんでもない日曜日
“私の買い物に一緒に行ったら
きっと彼は飽きてしまうだろう”
今まで女性もののお洋服やアクセサリーなどは
一緒に見に行けなかった
そんな彼が、私がいつも
「そろそろ新しい靴を買わなきゃ…」
と口癖のように言っては何か月も経っていることを
思い出したのか あるとき
「靴、見る?」 なんて急に言い出すものだから
思いもよらない提案に 急遽お買いものが始まった
「これいいんじゃない?これから冬になるし」
と指をさしたものは 私が”かわいい!”
と言っていたデザインのブーツ
「誕生日プレゼント、渡せてなかったから買ってあげるよ」
素敵なヒールのパンプスでもなく、決して有名なブランドの靴でもない
他の人から見たらなんでもない靴かもしれないけれど
その日からその靴が宝物のようになって
“きれいに履こう”
と心に決めてから
汚れがつかないように 傷がつかないように
歩くことに必死だった
アクセサリーや花束のプレゼントなんて
照れくさくてきっとできない彼だけれど
幸せだなぁ…って
そんなことを想いながら
螺旋階段を降りてゆく
「 結婚式の日にどうかな 」
って贈ってくれた ” セカンドシューズ ” を
足元にひそめながら…