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【ウエディングSTORY】 MY FIRST LOVE

 

「初恋は叶わない」

誰かが言った言葉。

それもそうだと思う。

だって自分の初恋は母親だ。

僕がこの世に産み落とされている時点で「父親」という最強のライバルがいるわけだから、

スタートラインに立つまでもなく僕の負けは確定している。

初恋の相手が母親。

雛鳥の親の法則のようなものだとも思う。

物心がつく前のことは正直覚えていない。

だけど昔の写真を見たり、当時の話を聞く度に感じることがある。

母親の腕に抱かれているときの自分はご機嫌で、いなくなると泣き喚いていた。

一緒にいたい、離れたくない、抱きしめてほしい。

そんな感情を、一番最初に教えてくれたのは母親だ。

そしてその感情が満たされたときに、どれほど幸せな気持ちになれるかを教えてくれたのも。

きっと記憶のないこの頃から相当手のかかる子供だったろうに、

いつだって無償の愛で包んでくれていた母親を、好きにならないわけがない。

少し大きくなった頃、弟が出来た。

生まれたての弟に付きっきりになり、構ってくれない母親に対して、

とられたくない、ひとりじめしたい、自分のものだ、常に自分が一番じゃないと嫌だ。

同じ独占欲なのに、幼稚園で友達におもちゃをとられたときとは違うこの感じ。

自分本位の感情だろうけど、恋愛で感じる気持ちとよく似ている。

そのうちに母親といることが恥ずかしくなったり、うるさいなって思うことが増えて、

口を開けば悪い言葉ばかり出てきてしまうこともあったし、 心配をよそに悲しませてしまったことも何度かあって。

ごめんの一言が言えなくて辛い思いもさせてしまったんだろうな、

だけど自分がどんなでも諦めずに見放さないでいてくれたから、きっと今の自分がいるんだろう。

相手の気持ちを考えることができたり、優しくもできるんだろう。

 

ふとそのときのことを話したら、覚えてないよ とはぐらかされたけど。

でも忘れてないことも知ってる、人づてに聞く機会だって未だにあるし、

テストでいい点とれたときも、大会で勝ったときも、

大学に合格したときも、就職が決まったときも、誰より一番喜んでくれたのは母親だった。

突然彼女を家に連れてきて、結婚の報告をしたときだってそうだった。

前もって言わなかったから相当驚いていたし、服装やらなんやら適当だったことが恥ずかしかったらしい、

軽く怒られたけど泣きながら喜んでくれていた、まるで自分のことのように。

 

結婚式で泣いているお母様|ピエトラセレーナ

 

母親だって、「母」である以前に一人の女性だ。

一生をかけて大切にしたいと思えるような子が出来て、

それに気づかされてからは、前より少しだけ気遣うようになった。

なんて、母さんの身長を追い越したときくらいには、気付けてればよかったんだけど。

また今日も泣かせてしまったけれど、きっと許してくれるよね。

 

抱き合う新郎様とお母様|ピエトラセレーナ

 

自分に息子が出来たら、初恋の人は大切にするんだよって言っとくからさ。

 

 

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