【ウエディングSTORY】 いってきますの一言
「子供たちの学校に近いところにしよう」
そんな理由で建てられた実家を離れて7年
自由奔放な私は 高校生のときから
外国へ行ったり 遠くの大学に進学したりと
共働きだった両親からしてみれば
あまり子供と過ごす時間がなかったのだろう
いってらっしゃい
と送り出してくれたあとで
なかなか実家に帰ってこない私の元へ
よく遊びにきたものだ
私も大学を卒業し 仕事をするようになって
実家に帰る機会 両親へ電話をする頻度は
ぐっと減り
「次の休みには電話をしよう」
と毎週のように有言無実行
親不孝者な娘に対して両親は
私が実家に帰る と言えば
仕事を休み 空港まで迎えに来てくれた
そんな私も結婚することになり
あまり両親と過ごすことのできなかった「時間」を
急に感じるようになっていった
なんとなく後ろめたい 後悔の気持ちと共に
進んでいく結婚式の準備
これから更に両親と過ごす時間が少なくなる
そんなことを思いながら歩くウェディングロードは
なんだか寂しくて
涙をこらえるのに必死だった
もう少しで あの人のもとへ…
「…いつでも帰ってきていいんだからな」
あと3歩、というところで
エスコートしてくれている父の言葉に
我慢していたものがいっきに溢れだした
「いってらっしゃい」
と送り出されるのは 慣れているはずなのに…
パパ ずるいよ
いってきます