照れ屋さん
「花くらい 渡してやりなよ」
とってもシャイなご新郎様の背中を 後押ししたのは
10年来の友人でした
いえ 正確にいうと 後輩でした
そのご新郎様は好きなことがはっきりしているのに
伝え方がわからないから 何て言えば良いかわからない
「好きだよ 愛してるよ」
なんてそんなくすぐったいこと自分は言えない
でも人望が厚くて
後輩にも名前に「さん」なんてつけるな
敬語で話すな なんて言うから
年なんか関係なく仲よくなっちゃえば みんな仲間
そんな誰からも愛される 照れ屋さんでした
口下手だけれども きっと ご新婦様もご新郎様の
心の奥の すごくあったかいものを感じたから
今の2人があるんだと
寄り添うように 苦手な部分を補い合うように
一歩一歩 未来へ向かって進んでいく
そんなお2人がとても愛おしく想えました
「あいつに 花とかあげたことなくて…
みんなの前じゃないとこで…渡そうと思って」
どんなに照れ屋さんだって
伝え方がどんなに不器用だって
好きな人の笑顔の為なら
少しだけ 「自分らしくないこと」をしてみようかな
そう思ったのかもしれません
パーティーの最後 ゲストも全員帰った後に
「今日はありがとう
これからもよろしくお願いします」
シンプルだけど しっかりと自分の言葉で
花束を渡す彼の姿は いつもの照れ屋さんではありませんでした
初めてご新郎様から花束をもらったご新婦様は
ひまわりみたいなとびきりの笑顔で
この上なく 幸せそうでした
