【ウエディングSTORY】親友の結婚式
小さい頃、「ひみつ」 が好きだった。
仲良しの親友とだけ共有する、他愛もないあれこれ。
その大抵は恋愛の話で、誰のことが好きだとか、誰と誰が付き合ってるとか。
先生に怒られたとか、意地悪しちゃったとか、たまに良くない話もあって。
ほんとうに何でもないことでさえ、
「言わないでね、ふたりだけの秘密だよ」
って、小指と小指で誓い合ったり、内緒話をするのが楽しかった。
秘密を誰かに話したくてそわそわ。だけど親友との約束が大事だから、頑張ってお口にチャック。
その歯がゆい感じもなんとなく、秘密を持った人だけの特権みたいで嬉しくて。
みんなでわいわい大騒ぎするのも好き。だけど気の許せる親友とふたりで遊ぶ時間はもっと好きだった。
親にも言えないことでさえ話せる親友の存在は大きくて、
当時の自分はきっと学業よりも部活よりも、親友に会いに学校に通っていた。
社会人になってからはそういうわけにもいかず、
親友と顔を合わせる機会も減ったし連絡はとるけれど、いつでもそばにいられるわけじゃない。
いつだって起こる出来事はリアルタイムではなく、事後報告になることが大半だった。
秘密には変わりないのかもしれないけれど、タイムリーな話題の方がテンションが上がるのは間違いないわけで。
だから会えた時間は貴重で、毎日会ってたあの頃でさえ話題は尽きなかったんだ、
会えない時間が長い分、話したいことは終わることなく溢れてくる。
充実した気持ちの反面、いつもどこかに物足りなさは残っていて、
だからこそ次に会う楽しみにも繋がるのだけれども。
結婚式は感謝の気持ちを伝える場所だとも言うし、幸せのバトンを繋ぐ場所でもあるという。
いつだって私が願うのは、親友であるあなたの幸せ。
あなたの幸せに、この先ずっと私も関わっていられたらな、なんて小さなわがままを願ったのは、
もしかしたら今日という素晴らしい日の一番の「秘密」なのかもしれない。