【ウエディングSTORY】彼の好きなところ
昔っから落ち着きがなかったわたし。
友達と遊びに行くのが大好きで、 まっすぐ家に帰ることの方が少なくて。
どこにいるのかわからないから持ってなさいと、
欲しいとおねだりする前に携帯を持たされるくらい。
そのくせ、すぐなくすからダメって言われて、 家の鍵はなかなか持たせてもらえなかった。
2つ上のお兄ちゃんはすぐに鍵を持たせてもらってたから、それがなんだか羨ましくて。
なくさないもん!って反対を押し切って持たせてもらって、やっぱり3日で無くして怒られたっけ。
お兄ちゃんにもバカにされて悔しかったけど、 それも3日後にはきれいさっぱり忘れてしまうようなお気楽な性格だった。
あれから十数年経って大人になった今も、 恥ずかしい話、相変わらず私は私のままで。
だけど変わったこともある。
どうせ鞄の中で迷子になるんでしょ、とキーケースをくれる彼が出来たこと。
方向音痴のくせに行き当たりばったりな私の為に、
初めてどこかへ行くときは 乗換案内のスクリーンショットを送ってくれる彼が出来たこと。
わたしの心配をよそに、いつもかゆいところに手が届く。
なんて言ったら失礼かもしれないけど。
いつも先回りをして、導いてくれる彼の手が好き。
またかよ、って呆れながらも笑ってくれるとこが好き。
わたしの扱いを完全に心得ているところも、悔しいけど大好きで。
そうやって好きなところを見つけられるのが嬉しいと、彼の背中を見ながらふと思う。
これから先も、数歩前を歩いてくれますようにとこっそりお願いしたことは、わたしだけの秘密にしておこう。