【ウエディングSTORY】ペトリコール
私たちの結婚式の日の降水確率を知って、
「やっぱりか…」と思った。
雨男・雨女カップルだから予想はしていたけれど
心のどこかでこの日ぐらいは
晴れてくれるんじゃないかと期待してたんだけどなあ…。
大丈夫。
雨には慣れてる。
でもやっぱり晴れてほしかった。
降水確率70%って絶対覆らない?
そんなことをぐるぐるぐるぐる考えて
あらゆる天気予報のサイトを見てはまた溜息。
そんな私を見兼ねてか
彼がぽつりとこう言った。
「出かける度に雨降ってたけど、
楽しい思い出いっぱい作ってきたじゃん」
確かに。
初デートも旅行もテーマパークも、
大ゲンカしてやっと仲直りできた日も
プロポーズされた夜だって
見事に雨が降っていた。
でも雨が降っていたから台無しだった、なんてことはなく
どれも大切な思い出。
思い出はいつの日も雨、
なんて、誰かも歌っていたっけ。
少し切ない曲だったかもしれないけれど。
あの曲も好きだった。
「あと俺、雨のにおい好き。
だから全然雨降ってもいいなー。」
湿った地面から立ち上るあの何とも言えないにおい。
私も結構好きかも知れない。
なんだ、私、雨好きじゃん。
なんで結婚式の日に雨が降ったら残念、
って思い込んでいたんだろう。
彼のおかげで、雨でも晴れでもいいやって思えて
結婚式の日がとっても楽しみになった。
ほら、やっぱり雨が降ったら残念、
なんて思わなくて良かった!
窓を流れる雫も
テラスの屋根を打つ雨音も
ちょっぴり開けた窓から吹き込むひんやりした風も
今日この日を素敵に彩るエッセンス。
1日をめいっぱい楽しんで楽しんで、
充足感でいっぱいの中
大好きな彼と手を繋いで
会場を出るときに感じたペトリコールを、私は一生忘れない。